退去費用をできるだけ抑える5つのコツ

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退去費用をできるだけ抑えて引越すためのコツを5つ紹介します。どのコツも難しくないので、できるだけ全てのコツを実践したほうが良いです。

①荷物を運び出してからお部屋を掃除する
②穴やへこみを補修しておく
③立ち合いの時間を夕方に設定する
④見積書を発行してもらう
⑤大家さんや管理会社と交渉する
⑥ガイドラインの内容を理解すれば退去費用で損しない
⑦トラブルになった場合は専門機関に相談するべき

①荷物を運び出してからお部屋を掃除する

家具や段ボールなどの荷物を運び出した後、できるだけお部屋を綺麗に掃除しておきましょう。水回りや、冷蔵庫・掃除機の下など、普段は掃除しない部分を重点的に掃除すると良いです。

自分で掃除すれば費用がかからない汚れなのに、ハウスクリーニング費用がかかってしまうことがあります。

以下の項目で、重点的に掃除するべき場所と掃除の方法を詳しく解説します。

キッチンの油汚れ

コンロや換気扇についた油汚れは、クレンザーや油汚れ用マジックリン、柑橘系の洗剤などを吹きかけて、メラミンスポンジでこすり落とします。

また、洗剤ではなく重曹を使うのも効果的です。水に溶かして霧吹きして、こすります。

それでも落ちない場合は、スポンジの表面に石鹸を塗りつけ、粉のままの重曹を揉みこんで拭けば、ほとんどの油汚れは落とせます。

洗面台や鏡の水垢・黄ばみ

洗面台や鏡についている水垢や黄ばみには、メラミンスポンジとクエン酸水を使います。

クエン酸は、100円均一などで買えます。500mlのスプレーボトルに、小さじ2~3杯を目安に水に入れて混ぜてください。

クエン酸を吹きかけてから5分ほど待ち、メラミンスポンジでふき取りましょう。

タイルやサッシの黒ずみ・カビ

浴室タイルやサッシの溝などにできる黒ずみやカビには、歯ブラシとカビ取り剤を使います。

カビ取り剤をかけてから15分ほど待ち、しっかりと浮き上がらせてから歯ブラシでこすり取ります。

ただし、しっかりと洗い流さないとにおいが残ってしまいますので、注意が必要です。

壁紙の汚れ

壁紙の汚れは、中性洗剤を薄めてメラミンスポンジに染み込ませ、軽く擦れば、綺麗になります。

汚れが落ちたあとは、シミにならないように固く絞った雑巾でふき取りましょう。

②穴やへこみを補修しておく

壁に空いた穴や床のへこみなど、ちょっとした傷を自分で修復しておくことで、退去費用を抑えれられます。

ただし、壁紙を新しく張り直してはいけません。どんな壁紙を張るのかは大家さんが決めているので、勝手に張り替えると、張り替えた分だけ修繕費用が追加されます。

以下の項目で、壁の穴や床のへこみを修繕する方法を簡単に紹介します。

壁の穴を修繕する方法

・小さな穴を埋める専用の補修グッズで埋める
・ティッシュを穴に詰めて、木工用ボンドなどで固める
・ペン用の修正テープを穴の上から貼って穴を覆う

床や畳のへこみを修繕する方法

・専用の補修グッズで直す
・へこんだ場所に水をかけ、雑巾越しにアイロンを当てる

③立ち合いの時間を夕方に設定する

夕方の薄暗い時間帯に退去の立ち会いをしてもらうことで、傷や汚れが見つかりにくくなります。

ただ、あまり暗い時間帯になってしまうと懐中電灯で照らしながらチェックされることが多いです。立ち合い当日の午前までに家具の搬出して、昼間に清掃、夕方に立ち合いというスケジュールが理想的です。

④見積書を発行してもらう

退去費用が何にどれくらい使われるのか明確にするために、見積書は必ず発行してもらいましょう。

見積書では修繕内容と価格を確認します。入居者の負担になる費用であったとしても、その価格が通常よりも高すぎる場合には、拒否できます。

各費用の相場と比べて、高額過ぎないか確認しましょう。納得していない見積もりには、絶対にサインしてはいけません。

見積書にサインしてしまうと、費用の支払いに合意したものとみなされ、減額や免除してもらうのが難しくなるので気を付けましょう。

⑤大家さんや管理会社と交渉する

退去費用に納得がいかない場合は、まずは大家さんや管理会社と交渉します。

その際、ただ漠然と「納得がいかない」と伝えるのではなく、高いと感じる見積もりの項目について詳しく話を聞き、減額交渉をしてみましょう。

もしも入居時の写真などの客観的な材料があるのならば、必ず提示します。

また、見積書の内容が高いと感じたのならば、複数の内装業者から見積もりを提示してもらうことを提案してみましょう。

⑥ガイドラインの内容を理解すれば退去費用で損しない

退去費用の支払いで損しないためには、国土交通省が発行している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」をよく読んで理解する必要があります。

「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」には退去時の費用についての基準が記載されていて、大抵の物件で基準として利用されています。

契約時に敷金返還や退去費用について特別な取り決めをしていない限り、基本的にはガイドラインの基準が適用されます。

大家さんの中には、ガイドラインの記述を無視して高額な退去費用を請求してくる人もいます。ガイドラインをよく理解しておけば、高額な費用を請求されていることに気づけますし、減額の交渉も可能です。

入居者の負担は故意・過失の傷や汚れだけ

ガイドラインによると、入居者が退去時に修繕費用を負担する必要があるのは、わざと付けた傷や、掃除せず放置したせいでこびり付いてしまった汚れなどです。

普通に生活していたら自然と付いてしまう傷や汚れは、自然損耗や経年劣化として扱われるので、入居者は負担しなくていいとされています。

以下の項目は、入居者が修繕費用を負担する必要がある傷や汚れの具体例です。

・壁、ふすま、ドア、戸棚の破損
・落書きによる壁紙の汚損
・結露を放置したことで発生したカビ
・雨水による畳、フローリングの変色
・金具のない天井につけた照明器具の跡
・家具の移動によってできた傷、汚損
・キャスター付のイスによるキズ、へこみ
・布団を敷きっぱなしにして発生したカビ
・ペットによる傷、汚損、におい
・エアコンの水漏れによる壁や床の腐食
・台所、換気扇の油汚れ
・風呂、トイレ、洗面台のカビや水垢
・過度なタバコのヤニ汚れ、におい
・釘穴、ねじ穴
・鍵の紛失、破損
・こぼした飲食物を放置してできた汚れ

自然損耗・経年劣化は大家さんの負担

誰が住んでいても付いてしまうような傷や汚れは、入居者ではなく大家さん側が負担する必要があります。

以下の項目は、大家さんが修繕費用を負担する必要がある傷や汚れの具体例です。

・日照による畳やクロスの変色(日焼け)
・冷蔵庫、TVによる壁の電気ヤケ
・ポスター、カレンダーなどの跡
・画びょう、ピンの穴
・エアコン設置によるビス穴、跡
・自然災害によるガラスの損傷
・耐用年数経過による設備品の故障
・破損や紛失以外の鍵の取り替え
・畳の表替え、裏返し
・フローリングのワックスがけ
・網戸の張り替え
・エアコンの内部洗浄
・台所、トイレの消毒

長く住むと入居者の負担割合が減る

入居してから時間が経てば経つほど、入居者が退去時に支払う修繕費用は安くなります。設備は時間が経つに連れて古くなり、価値が下がっていくので、修繕にかかる費用も下がるためです。

例えばガイドラインによると、壁紙(クロス)は6年間使うと価値がほぼ0円になるとされています。

使用した年数と大家さんが負担する費用の割合は反比例の関係にあるので、長く使用すればするほど、大家さんの負担割合が増えます。

また、価値が残っているとされる期間は「耐用年数」と呼ばれていて、設備ごとに違います。

ガイドラインよりも契約書の特約が優先される

ガイドラインはあくまで参考程度の資料なので、実際にかかる退去費用は契約書で定められた内容が優先されます。

契約書に入居者が不利になるような内容が記載されていたとしても、サインして印を押した時点で同意したとみなされてしまいます。

ただし「部屋の修繕にかかる費用はすべて入居者が負担する」などの一方的な内容の特約は、無効だと主張できる場合があります。

⑦トラブルになった場合は専門機関に相談するべき

退去費用をめぐって不動産屋や大家さんとトラブルになったときは、下記の専門機関に相談しましょう。

・全国宅地建物取引業協会連合会(宅建協会)
・全日本不動産協会
・国民生活センター(消費生活センター)
・法テラス

上記の機関であれば、相談料は無料です。なかには「宅建協会に相談します」と伝えると対応が改善される不動産屋もあるので、積極的に活用するべきです。

専門機関は「修繕の必要がないのに敷金を返金してもらえない」「不当に高い請求を受けている」「付けていない傷が修繕対象になっている」などのトラブルに具体的な対処法を教えてくれます。